2008年4月6日日曜日

「心の影」

研究室のサーバーがダウンしているようでつながらない。こうなると特にすることも無いので実に暇になる。数日前から、昔買ったきり読んでいなかった本を引っ張り出してきて読んでいる。それが、ペンローズの「心の影」。英語原題もそのまんまshadows of the mind。なんかDTとかのプログレ系のアルバムのタイトルになりそうだ。内容はかなりブッっとんでいる。脳の活動には量子力学がからんでいるとのこと。

脳科学と量子力学はどちらも興味深い。もともと大学はいるときは生物系志望で、大脳生理学やりたかった。2年次の専攻分けのときに生物系があまりに実験多くてしんどそうだし、解剖とか絶対無理と思ったので物理のほうに行った。いいかげんなものだ。その2つがペンローズ先生によると密接に結びついているというんだから読むしかない。すごくトンデモな香りがする気もするが・・・

読んでみたらごっつ難しかった。なんとなーく分かったのは、「ゲーデルの定理によると、どんなアルゴリズムをもちいても記述できない非計算的な物理過程が存在しうる→意識っちゅうのは非計算的な物理過程なんじゃないの?」+「量子力学で用いられる状態ベクトルが古典的描像に収縮する過程は非計算的なもので、なんだか重力(相対性理論?)がからんでいるぽい」=「意識は脳のニューロン中の微小管構造でおこる量子コヒーレントな現象が収縮する過程で生み出され、非計算的」ていうことが言いたいんかなぁということぐらい。第一巻がゲーデルの定理の話が延々書いてあって物凄く読むのがしんどかった。数ページで眠りの世界へいざなわれる。著者の勧めにしたがい、ほとんど飛ばす。第二巻に入ると量子論の話が多くてまだ理解そうだ感が漂う。前から気になってたベルの不等式とかEPRパラドックスとか量子情報の話が結構いろいろ書いてあったので、そのへんは割とまともに読んだ。とくに量子論で使われる状態ベクトルと確率の関係はずーっと気になってる話しであったし。

量子論ベースの物性理論使ってても、量子論はなんとなーく気味悪い部分が多い。要はシュレディンガー方程式を解けばいい&その方法は数学的にはキレイにまとまってんだけど、でその波動関数=状態ベクトルてーのは実際どういうブツなのとか考え出すとわけわかんなくなる。係数が複素数とかだしあつかう空間が複素空間だもんな。で、あらゆる状態はそんな複素数のベクトルの線形結合であらわされる。ほんとわけわかんない。でもそれでうまくいってるもんなぁ、今のところ。(量子論って何の役に立つんですかみたいなことよく聞かれるけど、量子力学的効果の例はレーザー発振とかトンネル効果とかスピン(磁性)。このへんなかったらたぶんコンピューターが存在しえない。みんな大好きニコ動も2chも量子効果がなければ存在しないわけだ。)そして一番わけわかんないのはそんな気味のわるい、いろんな状態の重ね合わせの複素数のベクトルがどうやってマクロの世界の物質描像と結びつくかということだ。ペンローズは、とりうる状態の重力効果によるエネルギー差が状態ベクトルの収縮する時間を決めるといっている。マクロな物体だと周囲の環境とかもあり、関係しあう粒子の数が超多いので、ちょっとゆらいだだけでもかなりのエネルギー差ができるので、ものすごい短い時間で収縮してしまうんだと。その話以降の、ニューロンの中の微小管はうまい構造になっているから、量子的な重ね合わせの状態がある程度維持されるとかの話は正直??だが、状態ベクトルの収縮の理論は面白い。

量子論+相対性理論で意識が解明できるかもってのはなかなかロマンティックな話題ではあるよな。真偽はともかくとして。(実際ちょっとトンデモ扱いされてるっぽい)しかし意識がそんなもんだとしたら、自分の意思であるとか決定であるとかはいったい何なんだろう。とりうる決定や思考の全ての状態が重ね合わさっててそれがなんだかよくわからん方法で収縮するのが意思決定ってことか?重力効果が効いてるなら時空のゆがみが意識を変成するとか?ちゅーかそもそも重力って?なんか考え出すと頭の中身がカユくなるような話だ。

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