2009年11月18日水曜日

事業仕分けの結果(科学技術関連)に対して思うこと

ここ2~3日、研究室では科学技術関連の事業仕分けの話題でもちきり。新聞では主にスパコンであるとか、GXロケットの話題がメインですけど研究室での話題は若手育成関連の予算削減。だって切実なんですもの。

私たち博士課程の学生が唯一申請できる公的な研究費は日本学術振興会というところが取り仕切っている「特別研究員」。この制度は、審査を経て採用された博士課程の学生に月々20万(税込)の奨励費と、年間上限を150万とした科学研究費(最近、理論系だと大体50~80万?)が支給されるというものです。博士課程の学生は身分でこそ学生ですが、自分で学会発表を行い、論文を書き投稿するなど自立した研究者としての働きを求められます。支給される科学研究費は主に学会への出張旅費や論文投稿料、必要な器材を買うことに費やされます。実験に比べてかかるお金が少ない理論系ですら国際会議に参加すると一回で30万、計算機として使うためのパソコンが1台40万以上(メモリ12Gまで増設とか数値計算用にいろいろカスタマイズするから)、論文一本投稿すると2万とか普通にかかるので、埋蔵金とか作りようがありません。ちなみに審査は結構キビシいです。審査委員会が開かれて、大勢の委員の採点の上で採否が決まるので(噂はいろいろあれど)公平な方だと思います。決して事業仕分け会議で委員の方がおっしゃったような「ドクターの生活保護」のような制度ではありません。

さてこの特別研究員の予算も削減される方向で議論されているようです。さらには任期付正職員として若手研究者を採用する制度(テニュアトラック制度)の予算も縮減するそうです。若手研究者育成関連の予算を切って、今後の科学技術政策をどういった方向に持って行くつもりなんでしょう?

応用的、すぐに実用につながるような研究内容であれば、仕分け会議の委員が言うように、企業から直接必要十分なだけ資金をいただくことも可能でしょう。しかし、そうではない基礎的な研究についてはある程度、政府が支援する必要があるかと思います。基礎研究に携わる若手研究者を支援することが、国民の生活向上にどう反映されるかは非常に見えづらいとは思います。しかし、基礎研究というのは種のようなもので、数十年後に幅広く応用され花開く可能性を秘めています。新薬の開発や高性能デバイスも、数十年前の基礎研究が基となっています。また、最近では企業がコストダウンのため、基礎研究を大学に委託することも多く、得られた成果や特許が企業の製品を通じ国民へ還元されています。そうした研究活動に大きく寄与し、下支えしている博士課程学生、ポストドクターへの予算を削ることは、日本の科学技術力全体を下げることになりかねません

Web上では危機意識を持った方々が動き始めています
Twitterハッシュタグ#f_o_s
http://twitter.com/#search?q=%23f_o_s

科学研究費補助金の一部の執行停止に対する反対署名
http://www.shomei.tv/project-1343.html

大隅典子先生のブログ
http://nosumi.exblog.jp/10452121/#10452121_1

仕分けまとめwiki
http://mercury.dbcls.jp/w/index.php?%BB%B2%B9%CD%BB%F1%CE%C1%A5%EA%A5%F3%A5%AF#bccc7185

じゃあ私たち学生でもできることは何でしょう?
sivadさんのブログならびに科学政策ニュースクリップにて研究者ができるロビイング活動についてまとめられております。
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20090903/p1
http://d.hatena.ne.jp/scicom/20091115/p1

また文部科学省はパブリックコメントを募集しています
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm


パブリックコメントを投稿された方がブログにアップされておられます
http://d.hatena.ne.jp/roadman2005/

これを参考にさせてもらいつつ、私も本当に稚拙な文章ながらパブリックコメントを作成し、文科省に送信しました。民主党本部の意見コーナーにも送りました。

「メール送ったところでなにか変わるんかいな」とは思わないでもありません。でも黙っていては変わる可能性は0です。短くても、文章構成が微妙でもメールを送り意見を言った方が言わないよりは断然いいと思います。

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