「宇宙を復号する」読み終わった。おもしろかったんだが、著者が多世界解釈持ち上げまくっているのが気になる。エヴァレットの多世界解釈はなんだか考えているとむずむずする概念なので。
量子力学の世界では、とある粒子がいくつかの状態をとりえる場合、それらが重ね合わさった状態をとっている。確率に応じて観測したときにどう見えるかが決まるだけであって観測されるまで粒子自体も自分がどんな状態か分かってない。(粒子がわかるてな言い方は変だけど)そんなわけで、例の半分生きてて半分死んでいるシュレディンガーの猫が出てくるわけなんだが、世の中そんな不気味なことは起こらない。私の場合、寝起きは半分死んでるけどな。なぜかというと、周囲の環境によって常にものは観測されているので(光があたるとか、熱とか)、自分たちが感知できるようなタイムスケールでは普通重ね合わせがおこらないからだ。さてその重ね合わせ→普段感知している古典世界へ、どうやって移行してるのかってのが結構な問題だったりする。なぜAでもありBでもある波動関数が、観測された瞬間AもしくはBのどちらかに決まるのか。ふつう授業とかでは、「波動関数が収縮するのです」と習う。収縮ってぱっと聞き都合がいいけどよく分からない。この「収縮するのです」理論はコペンハーゲン解釈というらしい。
これに真っ向対立するのがエヴァレットというひとが院生のときにぶちたてた多世界解釈。なんと観測された瞬間に、われわれの住んでる宇宙が状態Aをとる宇宙と状態Bをとる宇宙に分裂するらしい。観測って、真空のゆらぎやら光があたることまで考えると、毎秒何億ってレベルじゃない規模で宇宙が分裂していくわけだろ。宇宙すべての原子についてとりうる状態の個数っていくらなんだか。で自分が存在する宇宙はその無限の中の一個で…とか考えると自分がいま生存してなんかやってるってことがすごい危ういというか足元がぐらつく気分になるな。
なので個人的には多世界解釈は嫌いです。無限個の宇宙とかそういうのは物理的じゃないと思うなー。こういう観測問題とかわかりやすく書いた解説書ないかなぁ。
2009年5月26日火曜日
多世界解釈
2009年5月17日日曜日
「宇宙を復号する」ってすごいタイトルだな
最近、量子情報に興味深々。もともとはD論やら論文のイントロに書く「今やってる研究が~~の役に立つよん」の~~のところに量子コンピュータを入れれるのかどうか調べるためにあれこれ巡回してたんだが、それ自体がおもしろいなぁと。量子論ベースのことやってながらいまさらすぎる。
なんでこれまで量子コンピュータやら量子暗号やら量子テレポーテーションの話を避けていた感があるかというと、一方的に「あれって光学のほうがメインっしょ」ってイメージがあったからだ。学会とかでも量子情報な話は大抵レーザーの偏光を使っていて偏光状態のポアンカレ球うんぬんいわれても固体物理な私にゃ??だったのだ。なんで光なのかっつうと特殊な結晶にレーザー光を当てるとうまいこと対になった光子ができて、それを量子ビット、キュビットとして使えるから便利らしい。
この対になるものが重なりあってる状態(エンタングルメント)を作れれば、それを量子情報に使える可能性があるわけで、光以外には、分子振動とか分子回転で計算しようって試みもあるらしい。光以外で有力とされてるのがスピンを使うってやつで、それは知ってたんだけど、「あーNMRとかイオントラップわかんね」とかこれもまたスルーしてた。なんか最近ダイヤモンド使うと室温でエンタングル状態が作れたとか固体のほうでも熱いっぽい。エンタングルメントの基が不純物核スピン+電子スピンの相互作用、うは、なんか理論でも面白そう。
情報理論は興味あるけどさっぱり知らないし、しょっぱなに専門書読むのもしんどいよなぁとおもって「宇宙を復号する」ってタイトルの本を買ってみた。なーんか量子力学も情報理論を通じて考えれば、観測問題も情報を移転する操作として見るとわかりやすいんだと。大きな物体ではなんで古典的なふるまいなのかってことについていろいろ書かれててちょっとわかった気になるな。フラーレンですら、波動性をもって2重スリット実験で干渉するらしいてのはびっくりした。ウイルスで実験しようとしている人もいるらしいけど波動性があったらトンネル効果で感染するのか?
ウイルスつながりで。新型インフルで大学は休講っぽい。まぁ研究室の活動には関係ないんですがね。
2009年5月4日月曜日
インフル対策
新型インフルは一体どうなるんだろう。連休明けのパンデミックとかがいやなのでとりあえずマスクと食料を備蓄。Amazonでクレべリンゲルも買った。二酸化塩素ってすごいな。インフルエンザウイルスまでノックアウトとは。しかもウイルス表面のタンパク質を修飾するって仕組みがなんかすげぇ。タンパク質を修飾しちゃうんなら長期使用するとなんか肌荒れしそうでこわいが。
Amazonで防護服まで売ってるのにはびっくりした。ゴーグルは化学実験のときに買わされたのがあるのでいざとなったらそれを転用だ。今回のは一度は収束すると思うけど、秋が怖い。スペイン風邪も春の第一波、秋の第二波とあったらしく、しかも後半のほうがやばかったらしい。南半球でまぜまぜされてパワーアップとかやめてくれよ…。夏中にマスクと殺菌用品を備蓄せんとなぁ。
秋は国際会議のシーズンなのでそのあたりも悩ましい。ことしはイタリア北部であるらしいんだが、10数時間飛行機乗って時差ボケでふらふらで、各国から大勢人が来るところに行くってパンデミック対策としては最悪だと思う。海外で病院いかなあかんとか絶対嫌だ…。なので国内のをがんばって探そうと思います。まぁそうしたほうが旅費をi7搭載したPCとでかいディスプレイ買うのにつかえそうだから個人的にはうれしいかも。ただ、今年を逃すと、来年の国際会議は北京ばっかり(なんとなく避けたい)だし、2010年以降数年間、猛烈な太陽風→電磁嵐が吹きつけて飛行機やばいかもねーシーズンの到来らしく、しばらく海外行く機会なさそうだ。
まぁそんなわけで、連休だけど家で仕事な日々。