2009年8月18日火曜日

なんとも胡散臭い

月末は選挙らしく、ポスターがあちこちに貼られている。

今回の選挙ってどうなるんだろう。TVはひたすら「政権交代」とわめいているけれど、政権が交代したからってよくなるわけで無いだろうに。マスコミ関係者の、聞こえが良い4文字熟語を作って自己満足してるようすがとても気持ち悪い。

現政権が不満だ→ちがうのに変えてみようというのは、とても幼稚だと思う。ひとのやっていることの上げ足をとって批判するのはとても簡単だ。批判することと、良くすることは全然違う。大体が、民主党の目玉にしている「子ども手当」と「高速道路無料化」にどれぐらいの効果があるんだろうか。子供手当は少子化対策らしいが、はたして月2万いくらかもらえるから子供をつくるかって気分になるだろうか。個人的な意見を言わせてもらうと、全くそんな気にならないな。何で、若年層が子供もたないかていうと、雇用が安定しない&子育てに魅力を感じないからだと思うぞ。ベースとなる賃金がしっかりないと、手当もらったからって助けにならない。逆に仕事している女性の場合、子供できちゃうとほぼイコール現役引退になってしまうので、やっぱりそこでも躊躇するとおもう。研究職にしたって、いろんな公募で若手研究者=35歳までとかいう枠があるので、それ考えると…ねぇ。

だから、お金を配るというよりも、30~40歳代の人間が、家庭があっても無理なく働けるような体制であるとか(「社畜」のように働かなくていい、給料は抑えめになるけど6時間程度勤務というのも可とか)、再雇用機会を増やすとか、働き方をどうするかって方が大事だとおもうんだけどな。

高速道路はもっと効果のほどが謎である。CO2削減って言っておいて高速道無料は本当に訳が分からない。しかも阪神とか首都高は有料。通行料の少ない田舎道を無料にして、そこの補修であるとか狸しか通らん高速の建設を税金から持って行って、挙句の果てにCO2が増加した分、産業界や電力業界に押し付けてその分こっちの支出に回ってくるのが目に見えてる。生活道路としては国道があるんだから高速道路は受益者負担でいいだろう…。

このなんとも怪しい公約はしかも、どっかから突っ込みを受けるたびに細部がコロコロ変わる。マニフェストとやらもver.1.12ぐらいになってるんじゃなかろうか。マイクロソフトも目じゃないね。一体どんなセキュリティホールがあることやら末恐ろしい。

そして国旗切り貼りして党の旗つくちゃったってか。国旗・国歌を敬えとかは押し付けないが、常識的に考えてそりゃいかんだろ。知ったら大半の日本人が不快に思うんじゃなかろうか。
選挙のある月に自国の国旗を刻んじゃうような、常識も危機管理能力0の政党。こんなのが支援されるのが本当に不思議でしょうがない。これがこのまま行くと与党とか思うと、夏バテも進みやる気も失せるってもんです。

2009年8月7日金曜日

インストールVASP(ifort11.0+mkl10.2)

ちとわけあって、研究室で4年ほど稼働していたPCクラスターをばらしたものにOSとコンパイラつんでvasp動かそうというプロジェクトに今週は追われていた。学生が運用できる計算機(のちのちはMPIつかえるクラスターへ)を整備しようという計画+ちと早急に数台計算機がいるイベントがあったので。研究室として保有しているものは、現在主力のマルチコアで早いのあるけど、いろいろインストールしてみたり、ちょっといじったりができないから学生が運用できるのがあればいいなぁと思った次第。私はVASP使わないんだけどな。
OSはCentOS5を使用。CPUはいまどきPen4。VASPつかうのでFortranコンパイラがいるのだが、もちろんifort(非商用)をもらってくる。(11.1)
あと、blas.lapackを最適化されたので使いたいのでintel math kernel library (mkl)も非商用フリーをもらってくる
アドレスはこちら。メール送るだけでもらえます
ありがたい。
http://software.intel.com/en-us/articles/non-commercial-software-download/

pen4なのでifortは32ビット版をもらってきました。(ia32)
ifortとmklのインストールはinstall.shを実行するだけなんだが、あとめんどくさいのは、pathの設定。
ユーザーのhome/aaa/.bashrcに


. /opt/intel/Compiler/11.1/046/bin/ia32/ifortvars_ia32.sh
(これは. /opt/intel/Compiler/11.1/046/bin/ifortvars.sh ia32 とCPUの種類を引数で与えてもいいっぽい)
. /opt/intel/mkl/10.2.1.017/tools/environment/mklvars32.sh

LD_LIBRARY_PATH=/opt/intel/mkl/10.2.1.017/lib/32:$LD_LIBRARY_PATH
export LD_LIBRARY_PATH

を書き足しました。

vaspのインストールはMakefileのチューニングで盛大にこけました。ifortのバージョンが新しく変わったせいで、オプションを書き変えないといけなかったり。pen4仕様(MPI無)にするには、

FC=ifort

OFLAG=-O3 -xW -mtune=pentium4

BLAS= -L/opt/intel/mkl/10.2.1.017/lib/32 -lmkl_intel -lmkl_sequential -lmkl_core -lpthread -liomp5
LAPACK= -L/opt/intel/mkl/10.2.1.017/lib/32 -lmkl_intel -lmkl_sequential -lmkl_core -lpthread -liomp5

fft3dlib.o : fft3dlib.F
$(CPP)
$(FC) -FR -lowercase -O1 -xSSE4.1 -unroll0 -w95 -vec_report3 -c $*$(SUFFIX)

あたりを書き換えればいいみたいです。
(しかし、自分のデスクにあるCore2機はx86_64なせいかpen4とは同じようにはいかなかった)
さて、次は並列化してみるか。いやそれよりD論進めろよと。

2009年8月1日土曜日

人はさして合理的ではないらしい

最近読んだ本:
「世界は分けてもわからない」
「人は原子、世界は物理法則で動く-社会物理学で読み解く人間行動」

上のは生物、下のは物理よりの内容なんだが、なんだかわりに共通の話題を扱ってる部分もあり、並行して読んでたらおもしろかった。一言で言うとMany is different (P. W. Anderson)。集合体は部分の和以上のモノになる。しかしなんだ、下のはタイトルがトンデモ本ちっくではあるな。生協で買ってたら後輩に「なんかそれヤバい本ぽいタイトル」みたいなコメントをもらった。内容はまともだし面白いんだけどなー。めずらしく、物性物理よりの話題にからませて書いてあるから近しく感じた。物理よりの一般書といえば宇宙(ひも理論)関連な内容多いからなぁ。本文の最後の文がまたイイ引用句だし。よけいなお世話だけど原題のThe Social Atomをそのまま「ソーシャル・アトム」にしたほうが手に取りやすいような…

内容は、社会に現れる現象(人種差別や少子化や格差)なんかは、相転移とか物理で出てくる現象に近いということ。人の行動が総じて合理的ではないこと、それゆえ人の合理性を第一原理として作られた経済学ではうまくいかない例がいろいろ挙げてあって面白い。規制緩和による自由競争でつねに価格が下がるわけではないとか(カリフォルニアの電気料金とか)。規制緩和や民営化が万能薬のように言われているが、そう単純ではないみたいだな。

一番わかりやすいのは最初にでてくる「なぜ、アメリカでは白人が住んでいる区域と黒人が住んでいるエリアが分かれるか」という話題。普通に考えればそりゃ何らかの差別があるからでは?ってなるが、差別とかなんもなくても、ただ「自分が極端なマイノリティにはなりたくない」という条件を与えるだけでクラスターが出来上がる。磁性体とかと全く同じだ。シュミレーション結果の図もイジング模型のモンテカルロの結果と似てる気が。

「極端なマイノリティになりたくない→近しい人間のまねをしとこう」ってのは人類が古くから持っている性質みたいで、理性を軽く圧倒してしまうそうだ。”サクラ”が凄く有効に働くのもそんな理由だろう。さて、そんな性質があるならばいわゆる”民意”ってのは軽く操作されてしまうんではなかろうか。マスコミはいわば大規模なサクラみたいなもので、マスコミが大声で意見を垂れ流せば、世間の数割はそれに影響されるだろう。その割合がある程度大きければ”近しい人間のまねをしておく”相互作用によってその影響は伝搬され、なんとなく社会全体に広まり、マスコミ発の意見=”民意”になっちまう可能性がある。”民意”とかそれによって選ばれた政治家は一体何者ってことになる。ならば2大政党制はあぶないよなぁと思う。upとdownしかないスピン系で相転移がおこり強磁性体になるように、2つの選択肢しかなければ、どちらかの圧勝が起こりやすくなるんじゃなかろうか。そのパラメーターがマスコミの影響で変わるとかだったら実におそろしい。